2011年6月22日 針穴写真機で撮ってみよう |
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- 製作した針穴写真機で撮ってみました。(白黒です。)今回は、ネガまでです。 -
左から、現像液、停止液(お酢)、定着液(金魚のハイポ)です。
先週、作製した針穴写真機を使って、撮影にチャレンジしました。本当は、みんなの作製した写真機を使用して、 光の漏れなどがないか、事前にテスト撮影をしたかったのですが、時間が無くできませんでした。 うまくいかない 可能性も高かったため、念のため昨年のときわぎ祭で使った、100均の重箱針穴写真機も用意しました。
・ 直接当日の様子を、すぐにご覧になりたい方は、こちら です。 (当日の様子にジャンプします。)
事前の準備です。
まずは、白黒写真の現像に使う、現像液、停止液、定着液の用意です。(白黒写真は、フィルムや印画紙を、 現像、停止、定着という3つの過程で処理をします。 詳しくは、 こちらをどうぞ。 Wikiのページです。) 準備した暗室用品の詳細、手順などについては、こちらです。
現像液は、既製の印画紙用の現像液を使用しました。FUJIのコレクトールです。 説明書の通り作製しました。1L用×2が、入っています。 柏のビックカメラでは230円、 秋葉原のヨドバシカメラでは、220円でした。
停止液は、写真用の物を用意すると値が張るので、食用酢で代用しました。 家にあったのは、タマノイの酢でした。 適当に希釈しました。 (本当に適当ですいません。 5倍ぐらいにしました。)
停止液は、金魚のハイポ(チオ硫酸ナトリウム)です。 1kgの物が、かねだい我孫子店で、522円でした。(セールの時は、298円になります。) 写真用の物でも、1kgが、秋葉原のヨドバシカメラで、390円です。写真用の物でもあまり高くありません。 (柏のビックカメラには、1kgの粒状の物が置いてありませんでした。) これも、適当に溶解して使いました。 下に沈殿するかしない程度(飽和)としました。
フィルムは、白黒印画紙を使いました。、キャビネ版(12.0x16.5cm)の印画紙が、50枚で 1200〜 13000円でビックカメラやヨドバシカメラに置いてあります。これを6×6cmに切って使おうとも思いましたが、 コストもかかるので、管理人の所に保存してあった、FUJIフィルムのプロジェクションペーパーという、乳剤を 紙に塗ってある印画紙を切って使いました。(プロジェクションペーパーは、現在は、製造していません。) 普通の印画紙に比べ、紙は弱く、解像度やコントラストが劣りますが、このようなちょっとした実験には 充分と思われました。 値段ははりますが、普通の印画紙を使った方が、よりクオリティの高い写真が 撮影できます。 カラーでも可能ですが、コストがかなりかかるのと、暗室作業での温度管理が大変です。 (カラーは、ネガ用とポジ用の印画紙があります。ポジ用であればそのまま写真になります。)
暗室に使う、暗室灯も準備しました。 白黒の印画紙は、青い光に対して感度が高く、 赤い光に対しては 感度が悪く、できています。 印画紙に(赤い)光が当たっても感光しないようにできているライトが、暗室灯 (セーフティーライトとも呼ばれます)です。こちらは、以前、ビックカメラで購入していました。また、知り合いの 方から、以前、不要となった暗室灯を頂いていたので、それを利用しました。
みんなのカメラでは、遮光性が事前にテストできなかったので、うまく撮影できない可能性も高く、 念のため、100均の重箱カメラも用意しました。
100均の重箱です。
柏の富勢地区では、モラージュ柏の100均シルクに置いてありました。 ダイソー系列では、何件も 探したのですが、見つかりませんでした。 重箱の底に1cm大の穴を開け、0.5mmの穴を開けたアルミ板を開けた穴に貼り、ピンホールとしました。
シャッターは、黒いビニールテープを、剥がしたり貼ったりして、開閉します。 ( 原始的です。(^_^;) ) フィルム(印画紙)は、蓋の内側にテープでとめました。また、蓋の周囲に黒いビニールテープを1周ぐるっと 巻いて、迷光防止としました。 こちらに関しては、事前にテスト撮影ができるので、露出時間を概ね決める事が出来ました。 晴天時の日光の下では15秒程度、曇天時では、30秒程度で概ね適正な露出時間でした。 ( 針穴は、0.5mm で、針穴から印画紙面まで(重箱の深さ)約45mmでした。 ですので、重箱写真機の Fは、45 ÷ 0.5 = 90 ですので、 F=90となります。 普通の写真レンズは、Fが2程度から5.6程度なので、 かなり暗いです。それだけ、露光しなければいけないことになります。 また、フィルムと違って、印画紙の 感度も低いため、より露出時間をかけなければなりません。この辺のお話は、長くなるので、「写真、露出、 F、感度」などのキーワードで、検索なさってみてください。 ) 事前に、6×6cmに切った印画紙を、人数分+α、暗室作業下でセットしておきました。
その他の準備としては、理科室を遮光するための、100均の黒い大型スチロールボードやテープを用意しました。 現像、停止、定着の処理をするためのバッドや、印画紙を処理する際に使いピンセットも用意しました。 1昨年に実施した際は、1組の処理ラインを用紙しましたが、かなりの待ち時間が生じたため、今年度は、 2組の処理ラインを用意しました。 ( バッドは、定着、停止、現像の3つで1組を2組、ピンセットもそれぞれの バッドに対し用意するので、6本用意しました。)
また、みんなの作った針穴写真機で撮影するための準備もしました。みんなの作成した針穴写真機での 撮影は、スクリーン部分に内側から、黒い色画用紙を貼り、その上に印画紙を固定します。シャッターは、 ビニールテープをピンホールの前面に貼りつけ開閉します。 さらに、遮光性が怪しいので、黒いごみ袋を 被せるようにしました。 これらの準備もしました。
(慌ただしく準備したり、現像中は撮影できなかったりしたので、今回も写真はあまり撮れませんでした。 一部、過去の写真を利用したイメージ映像もあります。すいません。) 理科室のカーテンはボロボロで、カーテンを引いただけでは完全な遮光はできません。また、理科準備室の 扉のガラスにはカーテンはありません。さらに、理科室後方の外部への出入り口の下半分は、カーテンが ありません。このため、理科室の完全暗室化作業は時間がかかります。さらに、現像、定着、停止などの薬液の 準備や、暗室灯など、写真の暗室処理作業のための準備も必要です。 ですので、当日は、気合いを入れ、 クラブの始まる1時間前に学校に行きました。 しかし、残念ながら、理科室は授業で使用中でした。 ( 授業優先ですので、仕方ないです。(;_;) ) 仕方ないので、廊下で待っていました。待ちながら考えたのですが、5時間目が終わってから、クラブが始まる 6時間目までは、15分程度しかないので、どう考えても、理科室の完全暗室化は、間に合いません。準備が クラブの時間に食い込んだらどうしようと、焦るばかりです。(*_*); そこで、廊下の片隅を暗室にしたり、 理科室前の階段の下の倉庫の入り口を暗室化したり、トイレを暗室化したりなど、暗室化の準備ができそうな 所を探しましたが、電源の確保が難しかったり、持参した材料だけでは遮光が完全にできなさそうだったので、 あきらめました。 結局、クラブの時間まで1時間ほど廊下で待機しました。
5時間目の授業が終わると、早速、理科室の暗室化の準備です。 こういった隙間をテープでとめます。 テープでとめた所です。 理科室後方の出入り口です。下部にはカーテンがありません。 こちらには、 このあと、100均の大きなスチレンボードを並べて対応しました。
完全な暗室化は時間が無いためできませんでした。
印画紙を処理する薬品なども用意しなければいけません。 2組のセットを用意しました。
2組用意したうちの1組のセットです。左から、現像(バッドが黒くて見えませんが、)、停止(黄色)、定着(青)です。 周囲を100均にある300円の大きなスチレンボードで囲み、理科室のスタンドをお借りして、暗室灯をつりさげました。
結局、準備途中で、クラブの時間がはじまってしまいました。みなさん、間に合わなくてすいませんでした。 m(_ _)m
撮影の説明です。みんなの作った針穴写真機に、印画紙をセットする方法などを説明しています。 説明の後、部屋を暗くして、みんなの作った針穴写真機に、印画紙をセットしました。 上述の通り、 スクリーン部分に内側(前側)から黒い色画用紙を貼り、その上に印画紙を固定します。 ビニール テープをピンホールの前面に貼りつけ開閉し、シャッターとします。さらに、遮光性が怪しいので、黒い ごみ袋を周囲に被せるようにしました。 (後から見てみると、完全な遮光性が無く、薄く光が透けました。) 1昨年施行した際は、「白黒なんて心霊写真みたい!」と言って、できた写真を誰も持って帰りませんでした。 ですので、みんなには、あらかじめ、デジカメが普及する十数年前までは、画像を記録するのは大変だった 事や、カラーだと、厳密な温度管理が必要な点やコストがかなりかかる点などもお話しさせていただきました。
みんなで、外に行って撮影です。 はじめに、みんなで記念撮影を行いました。
全体的には、こんな感じです。
その後は、みんなで各自で撮影です。 露出時間は、15秒程度としました。
みんなの写真機での撮影がうまくいくか分からなかったので(事前にテスト撮影ができなかった)、 用意した100均の重箱の写真機でも撮影をしてもらいました。
その後、理科室(暗室)に戻って現像です。 印画紙を現像液にいれて、しばらくすると像が ふあっと浮かびあがってきます。像が浮かび上がってくる所が、面白いです。 しかし、この様子は、 お伝えすることができません。 光があたると、印画紙が感光してしまうので、現像中の様子は撮影が できません。(赤い光でも感度の高いカメラを使い、バルブ撮影(シャッターを開きっぱなし)であれば可能かと思います。) 定着までいくと、明るくして撮影しても大丈夫です。 写真は、定着の様子です。
定着の後は、水洗いです。
その後、新聞紙に並べて、乾燥させます。
みんな、うまく映っているかな?
結局、みんなの作った写真機では、露出オーバーか、カブリのため映っていませんでした。 (やはり、事前にお借りして、テスト撮影や 写真機の光の漏れ(迷光対策)をすべきでした。すいません。)
事前に適正な露出の分かっている重箱写真機は、みんな映っていました。(良かったです。(^。^;) ホ ッ ! )
ネガは、このまま新聞紙の上で乾燥させます。 ちょっと時間がオーバーしましたが、 本日のクラブは、ここまでです。 来週は、ネガからポジを作ります。
撮影したネガのギャラリーです。 ネガの時点では、左右反転して映っています。 スクリーンに映った絵は、180度反転しているので、
180度反転させれば元に戻りますが、印画紙はスクリーン後方からではなく、前方から見ることに なるので、左右反転します。
みんなの集合写真です。
みんなの撮影したネガです。 誰かが映っています。 中庭のようです。 シュロの木が映っています。 露出が少し足りないようです。(日陰でしょうか?) 車が映っています。校長先生の車だそうです。 3人の児童が仲良く並んで映っています。 給食室前の昇降口です。
みなさんのネガ全部は撮影できませんでした。全部がアップできなくてすいません。
<反省点、感想など> 1. みんなが作製した写真機では、うまく撮影ができなかった。露光時間がオーバーだったようだ。 重箱の写真機は、 ピンホール径が0.5mmで、フィルム面までの距離が45mmなので、F=90となる。 みんなの自作した写真機は、 ピンホールの直径が約2〜3mm、フィルム面までの距離が約60mm、F=20〜30となり、かなりFナンバーは 小さかったようだ。 このため、露出オーバーとなった可能性が高い。 自作の試作機では、遮光性に問題があった。写真機の箱の頂点の部分から光がもれていた。みんなの作成した物も、 かなり光が漏れていた。また、スクリーン後方からの光の漏れもありそうだった。このため、100均のゴミ袋を、写真機の周囲に 巻いて遮光をしたが、使用した黒いゴミ袋は、完全な遮光性ではなかった。晴天下では、光がかなり漏れたと思われる。 厚みのある完全な遮光性のある物を用いるべきだった。 やはり、児童の自作した写真機を借りて、事前にテスト撮影をすべきだった。 写真機は、撮影とスクリーン投影と両方行うのなら、撮影用の裏蓋を作製し、遮光をするべきだった。次回機会があれば、 裏蓋の作製も行いたい。 2. ピンホールも、撮影用とスクリーン投影用で、2種を作製し、各々の用途に合わせて使用すればよかった。 ピンホールの穴あけは、 各自児童にやってもらったので大きさが一定しなかったり、きれいな円になっていなかった。 裁縫針でアルミテープに開けているが、 ただ差すだけでなく、グリグリと大きな穴を開けている児童が多かった。 作製の際に、注意をすれば良かった。(ただ、小さい穴だと、 スクリーン投影の際に、像が暗くなるので、見えにくくなる。また、ピンホールを撮影用と投影用と2種類用意すると、差し替えの機構が 必要になり、遮光性の問題が出てくるので、工夫が必要なようだ。) 3. クラブ前の5時限目に、授業で理科室を使っていたため、理科室の暗室化の準備作業が終わらなかった。それも考慮して、 他の場所の検討も必要であると思われた。しかし、暗幕がある部屋で、水道も電気もある部屋となると、選択肢がないようだった。 エアドーム使用の簡易暗室なども作製できると用と思われた。 プラネ用ドームの残りの遮光シートで、是非作ってみたい。 4. 薬液の調合なども、児童にやってもらった方が良かったかもしれない。お酢やハイポは、比較的身の回りにある物なので、 より興味が持てると思われた。 現像、停止、定着などの原理の説明までは、時間がなく、手が回らなかった。 5. 今回は理科室暗室化作業の時間が無かったので、カーテンなどでの完全遮光はできず、理科室内は、かなり明るい 状況であった。(一昨年は、5時限目は理科室は使っておらず、ほぼ完全な遮光をする準備時間があった。) そのような状態で、 暗室作業がどこまでできるか不安であった。多少の印画紙のカブリがあったかもしれないが、なんとか暗室作業ができることが 分かった。 印画紙は、有効期限を過ぎているので感度が低下しているので大丈夫であった可能性がある。 6. 晴れていると、撮影の際は、被写体の明るさがあるので、露光時間も切りつめられ、失敗が少ない。しかし、晴れていると、 写真機本体の光漏れの可能性が高くなったり、また、理科室の暗室化作業が難しくなる。(わずかな光の漏れでも、明るくなって しまう。) トータルに考えると、明るい曇天程度が、一番やり易いと思った。 7. クラブの部長の児童が大変興味を持ってくれていたので、一昨年の施行時に比べ、児童の雰囲気はよかったようだ。 他の人にも、興味を持ってもらえる工夫が必要と思われた。
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千葉県 柏市立富勢西小学校 科学クラブ 日記 |