2013年2月6日  放射線の実験  
 

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                             - 放射線の実験です。 天気が悪かったので、実際に外での計測は出来ませんでした。-  

 

       霧箱の観察を行いました。

 

 

  放射線については、震災後、柏市はホットスポットと言われいたので、子ども達も興味があるようでした。

 年度初めの実験項目の希望を聞いた際、昨年度に引き続き、今年度も希望として上がりました。 そこで、

 今年度も実験を行いました。 昨年度の放射線の実験は、ドライアイスの実験と一緒だったので、それぞれの

 内容がかけ足となってしまい、中途半端となりました。今年度は、もう少し放射線の性質を知ってもらうため、

 放射線の実験だけとしました。

  学校の校庭は、除染作業をして頂いたので、だいぶ線量が下がっています。雨水の集まる所は、若干高め

 でしたが、排水溝等、業者や先生方も除染作業をして下さったので、だいぶ改善されています。どの程度なの

 か、みんなに知ってもらうため、実験の際に、天候が良ければ、みんなに計測してもらおうと思いました。

 

 

   事前の準備です。

  まずは、放射線を計測してもらうため、ガイガーカウンターを用意しました。 ストロベリーリナックス

 USBガイガーカウンターキットを利用しました。管理人は、放射線にも興味があったので、このキットを

 震災前に購入し、製作した事があります。 (震災の後、管理人も思わず計測しました。) USBでPCに接続し、

 データーも記録できるので、実験に好適でした。 LND-712という円筒形のガイガー管を使用しており、

 前面はマイカ(雲母)で出来ており、α線も計測できます。(線種の判断は、そのままではできないので、紙、

 アルミ等で遮蔽し、それぞれα、β、γ線の判別をします。) 秋月電子のガイガーのキットの販売終了後の当時は、

 ガイガーのキットは、このキットしか無かったと記憶しています。 震災後になると、このキットは売り切れ

 状態が続きました。入荷情報メールの登録をしていても、あっというまに、売り切れとなっていましたが、

 最近は入手できるようになったみたいです。  (25年2月現在、Ver.3に変更するため、販売は休止中のようです。)

 

  各テーブルに用意するため、2台製作をしました。

    (右側の2つの基板が実物です。左の基板はマニュアルの写真です。)

  初めて作ったのは、数年前のことなので、内容をほとんど忘れていました。もう一度、マニュアルを読み

 なおしました。マニュアルはカラー写真入りで、親切に書かれてあるので、作り易いです。

   (一番下の物は、以前、作製した物です。)

  部品を実装していき、製作を進めます。

  

   完成です。 以前所有していた物と合わせ、3台となりました。 3テーブル分用意をしましたが、

 今年度の科学クラブは8人と少なく、2テーブルしかないので、実際には2台を使う予定です。

 (来年以降、人数が増えたら 3台使用予定です。) 

 

   その他に、霧箱の観察をするため、霧箱を用意しました。

   

  KEKの一般公開東大柏キャンパスの一般公開に参加した際に作成した物を利用しました。

  (1年に一つづつ製作し、数年かけて集めました。)

  また、霧箱観察用に、ライトやエタノールも用意しました。

 

  また、霧箱を観察するには、ドライアイスも必要です。このため、あらかじめ生協の方にお願いして、

  ドライアイスを頂きました。

  (当日、実験前の様子です。)

  前日に頂いた時は、もう少し大きいですが、翌日になるとかなり小さくなります。発泡スチロールの

 容器内に、更に発泡スチロールで内張りした容器であれば、前日からでも、完全に昇華せずに残って

 いました。 もう少し、重ねて容器に入れれば、もっと昇華せずにいるのではと思いました。

 (ドライアイスの実験に使うには、ちょっと量が少ないので、今後、断熱を完全したいです。)

 

  放射線源です。

 キャンプ用ガスランタンのマントルを使用しました。

   

  こちらの製品は、放射線源として使えました。(左:サウスフィールド SF-2000MT、SF-80MT 

 右:EPIgas A-6301 ) どちらも、守谷のイオンタウン守谷内の Sports Depo で購入しています。 

 同じサウスフィールドでも、出ない物もあるようです。コールマンのマントルも購入したのですが、放射線は

 出ていませんでした。

  同じ守谷市内でも、ジョイフル本田守谷店に置いてあったマントルは、放射線は出ていませんでした。

 また、柏市北部では、モラージュ柏内のXEBIOという大型スポーツ店にもマントルの扱いがありましたが、

 コールマンの物でした。(放射線は出ていませんでした。) 

  

  他に、放射線源として、管理人の家の前の雨水溝横の窪んだ土の貯まった所が、放射線量が高かった

 ので、その土も採取しました。 

  

  採取する前の計測では、校正された計測機で、1μSv/h 以上の数値でした。 採取して1年以上

 経ちますが、まだまだ高値です。

 

  ウラン鉱石の見本も、用意しました。

  (ともに、燐灰ウラン鉱です。)

  少量なので、かなり近づけないと、ガイガーの反応はありません。

 

  他には、放射線測定機や、ドライアイスを割るための道具、遮蔽による効果を見るための遮蔽物

 (紙、アルミ箔、アルミ板、ステンレス板等)を用意しました。

 

   また、カリウムからも放射線が出ていると言われています。ジョイフル本田守谷店で、肥料である、

 塩化カリウムを購入しようと思いましたが、25Kgの袋しか置いていなかったので、500gの袋で

 販売されていた、硫酸カリウムを用意しました。 しかし、ガイガーカウンターを近づけても、

 バックグランドに比べほんのすこし上昇するだけでした。

 

 

 

 

   実験当日です。

  早めに、学校に行って、準備を始めました。 天気は、残念ながら雨でした。雨なので、外に行って

 実際に放射線量を測定してもらうのは無理なようですが、一応、サーベイメーター等も用意しました。

 ( フルーク Fluke 451P ,  ラデックス Radex RD1503 ,他 )     残念ながら、室内だけの実験となりそうです。 

  

  霧箱を観察するために準備をしました。 

  

   各テーブルには、ガイガーカウンターや、遮蔽物(紙、アルミ箔、アルミ板、ステンレス板)等を

 用意しました。

  

   

  ドライアイスを割るための道具です。

  

 

 

 

 

  いよいよクラブの時間が始まりました。

 

  まずはじめに、みんなに放射線の印象を聞いてみました。放射線というと、やはり、震災後の原発の

 事故が、思い浮かぶようでした。 簡単に放射線の線種や性質等をお話ししました。また、身の回りにある

 (グローランプ、煙探知機、カリウムの入った肥料、ランタンのマントル 等。 身の回りにあった と過去形が

 正しいのかもしれません)放射性物質を紹介しました。 そして、原発の事故後、事故前に比べて、外には、

 放射性物質が 至る所に見られるようになりました。 以前は、放射性物質を手に入れる事がちょっと困難

 でしたが、現在は、排水溝などの土を漁ると、簡単に手に入るようになってしまいました。柏市は、ホットスポット

 という事もあり、児童達の関心も高そうでした。

 

 また、ウランの鉱石のサンプル等もみてもらいました。(放射線と直接関係ないですが、蛍光がきれいでした。)

 

  各テーブルに分かれて、始めにバックグランドのカウントをしてもらいました。

  

  バックグランドは、男子チーム 21cpm、 女子チーム 13cpmでした。(cpm 1分あたりのカウント数 )

 

  次は、放射線源として、土を置いて計測です。 

  

  男子チームは 225cpm 女子チームは 130cpmでした。 

  バックグランドを差し引くと、男子チーム 204cpm、 女子チーム 117cpmでした。

  

  紙で遮蔽しました。(児童が、直接土には触れないようにしたため、ビニール袋に入ったままとなっており、

  本当の意味でのα線を含めた計測はできていません。今回は、遮蔽物による線種の種類については、深く追求しませんでした。)

 

  男子チームは 216cpm 女子チームは 108cpmでした。 

  バックグランドを差し引くと、男子チーム 195cpm、 女子チーム 95cpmでした。

  

  アルミ箔による遮蔽です。

 

  男子チームは 303cpm 女子チームは 96cpmでした。 

  バックグランドを差し引くと、男子チーム 282cpm、 女子チーム 83cpmでした。

  男子チームは、かえって上昇していますが、土に放射性物質が均一に混ざっておらず、

  土の入った袋を移動したので、数値が高くなったようでした。

  

  アルミ板による遮蔽です。( アルミ 0.5mm厚 )

 

  男子チームは 226cpm 女子チームは 78cpmでした。 

  バックグランドを差し引くと、男子チーム 205cpm、 女子チーム 65cpmでした。

  

  ステンレス板でも庶蔽しました。(ステンレス板1mm)

  男子チームは 187cpm 女子チームは 69cpmでした。 

  バックグランドを差し引くと、男子チーム 166cpm、 女子チーム 56cpmでした。

  

  また、検体を10cm離し、遮閉せず計測をしてもらいました。

  男子チームは 83cpm 女子チームは 23cpmでした。  

  バックグランドを差し引くと、男子チーム 62cpm、 女子チーム 10cpmでした。

  

 

     (ホワイトボードのメモです。)

  

   途中から、条件が変わってしまったりしましたが、結果なので、掲示してきます。

  男子チーム 女子チーム 男子チーム補正後 女子チーム補正後
土(ビニール袋入り) 225 130 204 117
216 108 195 95
アルミ箔 303 96 282 83
アルミ板 226 78 205 65
ステンレス板 187 69 166 13
         
10cmの距離を置く 83 23 62 10

 ( 補正後は、バックグランドを引いた値。(男子21、女子13)  数値は、CPM count per minute , 1分あたりのカウント数 )

 

  一部違っていますが、傾向としては、遮蔽物を厚くしていくと、カウント数は、減っていきます。

 また、距離を10cmとるだけで、ステンレス板で遮蔽するよりも、かなりカウント数が減るのが分かりました。

 放射性物質からは、とにかく距離を置くということが、分かってもらえたと思います。

 

 

  ランタンのマントルも試してもらいましたが、かなりのカウント数でした。

  

 

   ランタンのマントルには、トリウムという放射性物質が入っており、α線が放出されます。

  α線がシャボン玉に(シャボン膜)当たると、シャボン玉が消えていきます。

   その実験をするため、洗剤の入った液をストローで空気を送り、泡だててもらいました。

   

 

   そして、マントル(サウスフィールド SF-2000MT)を3枚重ねた物を、シャボン玉に近づけます。

   

  ある一定の確率でシャボン玉は消えていきますが、明らかにマントルを近づけた側が消えていきます。

  α線は目に見えませんが、何かマントルから放出されているのが分かります。

  これは、サウスフィールドのマントルを3枚重ねないとうまくいきませんでした。(1枚で試したのですが、

  うまくいきませんでした。 サウスフィールドの物は、ガイガーカウンターに近づけると、数μSv/時に

  なるので、かなり放射線量は高いようでした。 他社の物でもうまくいきませんでした。)

 

    おっと、ここで、男子チームで暴走する児童がいました。・・・ (゚o゚) 

   

   思いっきり吹いて、机の上が泡だらけです。・・・ (+。+)アチャー

 

   それでも、一応実験は可能なので、行いました。 ・・・・・  (^_^;) 

 

 

   

    そして、霧箱の観察を行いました。 霧箱は、放射線が飛んだ軌跡が見られる物です。

   

   α線は、紙でも遮蔽できる事を見てもらおうと、デモのテーブルの霧箱に紙片を入れたのですが、

  残念ながら、こちらの霧箱は軌跡がうまく見えませんでした。

   

    

   男子チーム、女子チーム、各々のテーブルの霧箱は、各々軌跡が見えました。

   その時の様子です。動画でどうぞ。

    

  

 

 

 

   本来予定していた、実際の放射線量の計測は、雨のため中止となりました。

  このため、本日のクラブは終了です。 お疲れさまでした。

   持参したサーベイメーター等は、日の目を見ませんでした。・・・

   

  

 

    終了後、流しの中に、シャボン液とドライアイスが入りました。 すると、ぶくぶく音を立て、

  流しの中は 泡だらけになりました。・・・

    ( スモッグのため見にくいです。すいません。)

   

    顧問の先生は、部活の監督のため、理科室を離れました。 あとで、理科室の鍵をかけに

  お戻りになる予定です。 その時も、ぶくぶく、ぶくぶく音が出ていると思います。

  理科室にお戻りになった先生が、心配なさらないか、気になりました。・・・

 

  

 

   <反省点、思ったこと等>

  1. 放射線の種類等は、簡単に触れたが、どの程度まで詳しく伝えるべきか、難しいと思った。原子や分子などを

     簡単に触れた。原子核が、壊れる際に放出される 程度の紹介をした。 ウランの鉱石をみてもらい、原発では

     純度を上げて、使っていることなどを簡単に紹介するに留めた。

  2. 天候のため、実際の線量の測定は行わなかったが、傘をさしてでも、実際に行うべきだったかもしれない。

  3. 実験前は 「放射線の実験を行うと、かえって児童達の不安をあおるのではないか」 という心配があった。

     しかし、実際に実験を行うと、土やマントルなど、放射性物質だからと言って、避けることは無く、積極的に実験を行っていた。

     特に不安を煽るようなことは無かったようだ。  

  4. 児童は、直接、土やマントルに触れないようにしたため、今回は、α線の実測は行わなかった。

     今後は、直接児童が触れないように工夫を行い、α線、β線、γ線と 遮蔽物により、線種の測定が出来るような

     実験を行いたい。

  5. ビー玉、マントル、蛍光紙を使って、放射線を観測する装置を製作してみたい。

  

 

 

 

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