2014年11月12日    クマムシをさがそう
 

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                                - 実際のクマムシを観察してもらいました。 -

    クマムシさんのぬいぐるみです。

  

 今回の科学クラブは、「クマムシをさがそう」という題材で行うこととなりました。
管理人は、クマムシについては、ほとんど知識がないです。テレビ等で放映されていた
のを見た程度で、放射線に強いとか、宇宙船に強いとか、乾燥に耐えうる等、過酷な
環境でも耐えうる強い生物という認識程度で、一度は実物を見ていたいと思っていました。

 はじめてクマムシを見たのは、市川学園の「なずな祭」です。数年前に、伺った祭に
生物部の展示でみせてもらいました。そのときは、「その辺に棲んでいるんだ。」程度の
認識でした。

 

 今回、この企画を思い立った祭に、管理人が友の会に入会している、茨城自然博物館の
サンデーサイエンスで、ちょうどクマムシを探す企画がありました。このため、この
企画に参加させていただきました。クマムシは、身近な環境の中に棲んでいていて、
ギンコケというコケからが採取しやすい事を学びました。サンデーサイエンスでは、
実際に観察する所までを学ぶことができました。

 1.学芸員の先生が採取したギンコケを用意して下さっていました。
    (博物館内で採取したものではなく、茨城県内の道端で採取したものとの事でした。
    説明時には、東京駅が写っている写真を提示し、東京駅近辺の歩道にもギンコケが
    ありそこにもクマムシが生息しているとの紹介がありました。)

 2.親指の先程度の量のギンコケをペットボトルとガーゼを使ったフィルターに
    いれます。(土の部分は入れず、ギンゴケの緑色の上部をハサミで切りました。)

 3.下部が水につかる程度、上から水をかけます。

 4.上部から光を当て、20〜30分待ちます。

    (クマムシは光が嫌いなため、光を当てると下部に下りて行くそうです。)

 5.濾過した液の沈殿をスポイトやピペットで採取し、シャーレに移します。

 6.実体顕微鏡で、観察します。

 7.クマムシがいたら、スポイトやピペットを使って、ホールスライドグラスに
採取します。

 8.顕微鏡で観察します。

 

 大まかな流れは以上のようでした。

クマムシ初心者の管理人も、博物館の先生方の指導を受け、なんとか顕微鏡の
観察までできました。

難しいと感じた点は、2〜3ありました。

 一つ目は、実体顕微鏡下でクマムシを探す時です。細かい砂利の中から探すのは、
慣れないと難しいと思いました。倍率は、最低でも20倍程度は必要なようでした。
(博物館の実体顕微鏡は、オリンパス製の高価な物なので、視野も広く、とても
見やすいですが、普通の家には実体顕微鏡はありません。) 博物館の顕微鏡は
ズームで40倍程度まで上がるので、20倍程度で広範囲を観察し、怪しいと思ったら
倍率を上げて詳細を観察すると効率的でした。また、線虫等のクマムシ以外の生物が
結構いるので、低倍で動く物が見えて喜んでも、倍率を上げると残念などと言うことが
結構ありました。

  
 二つ目は、シャーレ上でクマムシを発見し、顕微鏡で確認するためホールスライドガラスに
移す時です。ピペットで目的の所だけをちょっと採取するのは、慣れが必要です。

サンデーサイエンスに参加させていただいたので、技術的な事を教えて頂く事ができたので、
これなら、科学クラブでも何とか実施可能 と思われました。


家に帰ってからネットで、情報を調べましたが、やはり同様の採取、観察法が一般的なようでした。



  

 

  < 事前の準備です >

 科学クラブでの実施が近くなってから、準備にとりかかりました。 まずは、ギンコケ探しです。

ギンコケは上部が銀色に見えるためギンコケといわれているそうです。
管理人の家は、柏市ですが、近隣を自転車で下を見ながらさがしました。また、出かける先々でも下を
キョロキョロしていました。ちょっと怪しかったと思います。初めて見つけたコケは、近くの松葉町の
歩道でしたが、ギンコケではありませんでした。

  

 一応、サンプルとして持ち帰りました。

始めは見つかりませんでしたが、しばらく注意してみると、結構いろいろな所にありました。

  歩道の車道側にありました。

  ギンゴケのようです。

  表面の枯れているような所が、銀色となっています。

 トレーに入れて持ち帰りました。

  箱庭みたいです。

 (道端でコケを採取するのも、ちょっと勇気がいります。職質されても不思議でありません。(^_^);


家に帰った際に気づいたのですが、管理人の家の前の道にもコケが生えていました。

 

灯台下暗しです。ギンゴケではありませんが、採取したサンプルの中でヨコツナクマムシが一番多く見られました。

 

家に帰ってから、ペットボトルとガーゼを使ったベールマン装置のようなフィルターに入れ、
上から水をかけ、その後、光を当てました。
 
(親指大にコケを千切ったのですが、博物館の時と違って、緑色の上部を切り取らず、他のページで
紹介されているように土の部分も含めて簡易ベールマン装置に入れました。)

  

 

 ろ過した液の沈殿をシャーレに移し、実体顕微鏡で観察します。

   

  

管理人の所持する実体顕微鏡は、10倍と20倍の切り替え式です。スターショップ(誠報社)のガラクタ市で、
ノーブランドの中古で買いました。見え味はいまひとつです。特に左側がよく見えません。接眼レンズを
左右変えても左の見え味が悪いので、本体がだめなようでした。・・・

 

欲を言えば、もう少し高倍率が欲しいですが、その分視野が狭くなります。20倍前後で探して、
詳細を見る際に高倍にするようにすれば効率的です。


 なにやらうごめく物が見えました。クマムシと思われます。

 

  

  強拡大するため、スポイトやピペットを使ってホールスライドガラスに移しました。

  
 

  これが、とっても難しいです。スポイトの先端を液につけてから、ピュッとつまむと、
目的のクマムシは吹き飛ばされてしまいます。このため、あらかじめ、液につける前に
つまんでおくと、液内でピュッとならずに採取できます。慣れるとかなりの確率で採取
できるようになります。

  顕微鏡で観察しました。

    

 いました! クマムシさんです。(ヨコヅナクマムシと思われます。)

  

  自宅でも再現できたのでよかったです。

 

 

 

  http://youtu.be/_n8y7p8pMm8

 

  これで、科学クラブで取り上げても大丈夫なようです。

採取したクマムシさんは、乾眠状態に入ってもらい、クラブ当日お目覚めになっていただく
こととしました。 おやすみなさ〜〜い。


 乾眠状態と思われるクマムシに、水をかけたところ、15分程度で動きだしました。
クラブの時に乾眠状態からめざめさせるには、この程度の時間があれば良いと思いました。
(あとから思ったのですが、15分程度で動き出すのは、完全な乾眠状態になっていなかったようです。
ネットなどによると、1時間程度かかるようです。不完全な乾眠状態なようでした。)

科学クラブで行うには、コケの採取からやっていると時間がありません。

このため、ペットボトルの簡易ベールマン装置までの処理を前日までにやっておき、当日は
実体顕微鏡でクマムシを探すところから始めてもらうこととしました。

前日前夜、コケを簡易ベールマン装置に入れて水をかけ、上から照明をあてました。


2〜3時間後、下部の沈殿を容器に入れました。10人分用意しました。


クラブを前にして、ひとつ不安がありました。学校の理科室の実体顕微鏡の倍率が、何倍か事前に
調べていなかったのです。クマムシを探すには、最低でも20倍はほしいです。

  学校の実体顕微鏡の倍率が20倍以上があることを祈りつつ、当日を迎えました。

 

 

 

 

  < 実験の当日です >

  クラブ当日です。  今学期最後のクラブとなりました。
 
今回は、デモ用の顕微鏡として、OLYMPUSのBX-51を用意しました。
(今回はNikonのL型(S型)顕微鏡は持参しませんでした。)また、管理人の中古の実体顕微鏡を
用意しました。乾眠状態のクマムシさんも慎重に持参しました。
学校に着いてから、早速、理科室の
実体顕微鏡の倍率を調べました。すると、20倍の倍率が出たので、よかったです。
(接眼レンズの交換で更に高倍にできました。)

デモ用の顕微鏡を用意し、ビデオカメラを接続し、説明用の
PCやモニターを準備しました。

   

そして乾眠状態のクマムシさんのスライドガラスをセットしました。
窓際には実体顕微鏡を9人分用意しました。
 

 クラブが始まりました。

はじめに、クマムシさんの説明です。

  

 児童に聞いてみると、科学館でクマムシを見たことがある児童が一人いました。

クマムシに関することを、こちらのページを紹介しながら、話しました。放射線に強い、乾燥に強い、
低温や高音などの温度にも強い等の最強に近い動物であることを知ってもらいました。コケの話、
採取方法などを話し、ろ過後の沈殿物の入った容器を一人一人に渡しました。 

シャーレに移して、クマムシを探してもらいました。

    
人によって、すぐ見つかる人や、なかなか見つからない人がいました。
 窓際に置いたのですが、
直射日光が当たるのでは無いため、20倍ではちょっと暗く見えにくかったです。 管理人の家から
スタンドやクリップライトを用意したのですが、一人一個の照明ならともかく、2〜3人で一つの照明
では暗かったです。

 
見つけたらスポイトで採取してもらい、ホールスライドガラスに移し、顕微鏡で確認をしてもらう
こととしました。 しかし、これがなかなかうまくいかず、結局、科学に大変興味のある児童のKさん
一人でした。 


    学校の備品、ナリカのアトマ顕微鏡です。良く見えました。

 

   
  (デジカメで、アトマ顕微鏡を覗き込むように撮影しました。)

 Kさん、おめでとうございます。

Kさん記念にスライドグラスごとクマムシさんをプレゼントしました。
 

Kさんは、科学に興味があり、今後、顕微鏡を買う予定だそうです。 うまく乾眠状態にしてもらい、
顕微鏡を買ったらぜひ、目覚めさせてください。 (Kさんは、すでにリケジョと呼んでいいのでしょうか?)
 


  乾眠状態のクマムシさんですが、クラブの時間が中ごろになってから水をかけました。少しずつ
乾眠状態からお目覚めになりましたが、結局クラブの時間内には完全にお目覚めになりませんでした。・・・
    

 みんな帰り始めた頃に動き出し、クラブの時間が終わったあとに完全にお目覚めになりました。 (^_^);

 

 ちょっと半端な終わり方になりましたが、早くも今年のクラブはおしまいです。  

 みなさん、風邪などひかぬようにお過ごしくださいね。

 

   本日の様子を動画でまとめました。

 

  

  

 

 

 

 

  クラブのあとで、・・・

 その後、管理人は家に帰ってから、容器に入っていたクマムシさんを採取し、約20匹程度、
乾眠状態に入っていただきました。 乾眠状態のクマムシさんたちは、今後の実験の際に、
お目覚めになって頂く予定です。  

(いつまで持つかわかりませんが。・・・ これだけ用意できると、各自の顕微鏡下で、乾眠状態
からの観察ができるので、・・・)  

その他のクマムシさんたちは、容器内の液ごと、コケの上に撒き、本来住んでいたコケに戻しました。

 

 




  < 反省点、思った点、気付いた点など >

 1.クマムシは身近にいることが実感できた。今後は、他の採集法も試して行きたい。

 2.学校での実体顕微鏡での観察時、照明の必要性を感じた。事前に顧問の先生との打ち合わせが必要であった。
   今後は、改善したい。

 3.2回に分けて、1回目はコケの採取、2回目は観察とし、コケの採取から行った方が、より興味をもってもらえたと思った。

 4.今回は乾眠状態はデモでの観察のみとなったが、今後は各自の顕微鏡下での観察を行いたい。

 5.管理人の実施する科学クラブでは、初めての生体の扱いとなったが、概ねうまくいってよかった。 
   今後も生物系の実験を取り入れて行きたい。

  

 

 

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                           千葉県  柏市立富勢西小学校  科学クラブ 日記

  

 

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