ボウリングの球 (玉)  掃除機による浮遊実験  

                                 - 空気の実験に使いました。 -

 ホーム > 機器・材料一覧 > ボーリングの球

 

         正式には、ボーリング ではなく、ボウリングと表記するんだそうです。

 

      空気の実験の際に、ボウリングの球(玉)を掃除機の吸引で持ち上げる実験があります。 透明なチューブの中で、

  掃除機を使って、ボウリングの球を吸い上げる実験です。 この実験も、子どもたちに是非見てもらいと思いました。

 

   まずは、ボーリングの球を入手しなければなりません。 新品をネットで検索してみると、定価10000円程度から

  あるようです。(実際の価格は、数千円です。) この実験にそこまで、お金はかけられないので、新品は見送ります。

  また、ネットの情報では、古い物で良ければ、ボウリング場で廃棄するボールが無料でもらえるそうですが、近所に

  ボウリング場がありません。     

  ( かなり昔は、近所にも数多くありましたが、みんな家具屋になって、その後、無くなりました。・・・ 年齢がばれそうです。(^_^;)  )

   管理人自身も、やってみたい、見てみたいとは思っていたものの、ボウリングの球が入手できず、クラブの空気の

   実験には間に合いませんでした。  

 

     しばらく時が経ちました。 ある日、かみさんの実家に行くことがありました。なぜか、玄関の横にボーリングの球が

   転がっています。 なぜ置いてあるのか伺った所、防犯の目的で置いてあるとのことでした。( なんだかちょっと怖い気がしますが、・・・)

   空気の実験に使うので、頂けないか伺った所、快諾して下さいました。野ざらしになっていたので、かなり汚れていました。

   そばにあった水道まで、持っていこうと、指を穴に入れて持ち上げた所、なにか湿った軟らかいグニャっとしたものが、

   人差し指の先に触れました。かなり汚れていたので、実験に使えるか心配でしたが、水道まで持っていき、汚れを落とした

   所、表面は細かい傷のためか、艶消しの黒といった感じでしたが、大きな傷は無く、十分実験に使えそうでした。指を入れる

   穴の中にも、かなり土が入り込んでいました。穴の中を良く洗った所、先ほど指に触れたのは、ナメクジでした。・・・・ (^_^;)   

   家に帰ってから体重計で重さを測ってみると、7kg以上ありましたので、16ポンドのボールのようでした。

 

    取り敢えず、ボウリングの球は入手したので、次は、ボウリングの球がちょうど入るサイズの透明なチューブが必要

  です。 素材としては、アクリルのチューブが、一番入手しやすいようです。どのくらいのサイズが必要なのか、調べたところ、

  ボウリングの球のサイズは、 周囲が、27インチという規格があるそうです。  周囲が27インチということは、直径は、・・・

    27(インチ)÷3.14×2.54(cm/インチ)= 21.84(cm)

                                      となります。

    入手したボウリングの球の直径が実際に、21.84cmなのか、測ってみました。

   直径をうまく測れるものは無いか、家じゅうを探しました。しかし、定規や巻尺だけでは、正確に測れません。

   直角や平行をうまく出せる治具があれば、正確に測れると思いますが、手元にはそのような治具はありません。

   このためだけに、お金をかけて治具を作っても仕方ないので、いろいろ探しましたが良いものは、ありませんでした。

    どうやったら正確に測れるか考えながら、トイレに入ろうとした時、トイレの引き戸で測ることを考えつきました。

   トイレの入り口の引き戸の縦の部分が、閉まった時にあたる柱と平行になるように、引き戸の戸車の左右の

   バランスを調整します。 (引き戸が閉まった時に、上にも下にも隙間ができないように、戸車の高さを調整します。)

   そして、引き戸のレールの上で、引き戸と柱にボウリングの球を挟み込んで直径を測れば、比較的正確に測れます。

       (トイレの入り口の引き戸です。(^_^;)  柱と平行に調節しています。)

    このようにして、直径を測ってみると、・・・ 

      

     21.8cmでした。 やはり、規格通りのボールでした。

 

 

    そして、アクリルのパイプの選定です。 ボーリング、掃除機などで検索してみると、いくつかの情報が得られました。

 ・ 善ちゃんのボウリング球浮遊実験のページでは、アクリルパイプは、直径230mm、肉厚5mmをつかって

    おられます。 (内径220mm)  

 ・ 大阪市立科学館のページでは、実際のサイズは書いていませんでした。ほぼ同じ直径となっています。

    写真でみたところ、丈夫な5mm厚の様にも見えます。 (実際にはわかりませんが。)

 ・ YPCさんの例会のページでも、内径220mmのパイプを使っていました。

    他にもいくつかのボウリングの球の掃除機による吸い上げ実験の記事が出てきますが、具体的なサイズは

    載っていませんでした。

   

    上の情報をみますと、ボウリングの球と チューブの間に間隙ができるので、ボールの周囲にテープを巻いて、

   間隙を埋めることをしなければいけないようです。 直径230mm、肉厚5mmの場合、内径は、220mmとなります。

   間隙は、2mm(正確には、ボールの直径は218.4mmなので、計算上は、1.6mm)となります。 もう少し、内径が

   小さい(219mmなんて半端な物があるかわかりませんが)ものがあれば、テープを少ししか巻かなくても良かったり、

   全く巻かなくても良いのではと思いました。ネットで、以前お世話になったことのある、タカマサ樹脂工業さんのページ

   みたところ、外径225mm、肉厚3mm、内径219mmのアクリルパイプがあることが分かりました。 しかし、値段が、・・・・。

   (外径230mm、肉厚5mmと比べて、約5000円安いのですが、それでも高いです。・・・)

     

 

 

     後日、タカマサ工業さんに、実際のボウリングの球をリックに入れて、購入しに行きました。 

   タカマサさんに着いてから、いろいろ相談させていただきました。 実際に、直径を測って下さったりしました。

   外径225mm、肉厚3mmのパイプと、外径230mm、肉厚5mmのパイプについて、伺った所、 以下の様なことを、

   教えて下さいました。

  

    1.公差の問題 (誤差)   

    外径225mm、肉厚3mmのパイプ外径の公差(誤差)が±1mmで、肉厚の公差が±0.4mmとのことでした。 

   外径230mm、肉厚5mmでは、外径の公差(誤差)が±1mmで、肉厚の公差が±0.5mmだそうです。今回の

   実験の場合、外径は良いですが、内径は、肉厚の公差を考えると、外径255mm、肉厚3mmの場合、ボウリングの

   球とのクリアランスが無くなる可能性があるとのことでした。 公差を考えると、外径230mm、肉厚5mm(内径

   220mm)の方が確実とのことでした。 

 

    2. 真円度の問題

    また、大きなパイプでは、真円度も問題となってくるようです。 製作時にほぼ真円でも、その後の置き方(横置き等)や

   使い方によって、変形する可能性があるとのことでした。 ギリギリの内径の場合、すこし真円度が狂っただけでも、

   ボールが内面にあたってしまいます。 これは、当然肉厚が厚い方が有利なようです。

 

    3. 強度の問題

    真円度にも関連しますが、3mm厚のパイプは、強度の点から言っても5mm厚より強度がないので、使い方によっては、

   ヒビや割れを起こしてしまうことがあるとのことでした。強度も、当然肉厚が厚い方が有利です。今回の実験の場合は、

   ボウリング球の重さが直接アクリルパイプにかかるわけではないので、多分大丈夫でしょうとのことでした。

 

    以上の事が問題となるようですが、実際には、やってみなければ分かりません。

   結局、価格の事を考え、外径225mm、肉厚3mm(内径219mm)のパイプを購入することしました。

   (うまくいかなかったら、クントの実験などに使おうと思いました。)

   科学実験が好きで、自腹で購入してボランティアで実験をしている事をお話したら、すこし負けてくれました。(^_^;) 

   また、帰り際に、お茶まで頂きました。  (かみさんの分と、2本も頂いてしまいました。) 個人の客なのに、丁寧に

   対応していただき、どうもありがとうございました。   ( 店頭には在庫が無く、工場から送ってもらいました。)

 

          後日、パイプが届きました。 価格を考え、外径225mm、肉厚3mm(内径219mm)のパイプを購入しましたが、

   先の話のように、肉厚の公差や真円度の問題があり、うまくボウリングのボールが通ってくれるか心配でした。   

   さっそく開封し、おそるおそるボウリングの球を持って通してみると、クリアランスもちょうどよい具合で、球の周囲から

   シューという空気が通る音が聞こえます。 管理人が購入した物に関しては、公差、真円度については、全く問題

   ありませんでした。

 

    次は、パイプをどのように立てるかです。空気が通るように、下部に空気の通り道をあけなければなりません。

   善ちゃんのボウリング球浮遊実験のページでは、井の字のように木を並べ、その上にパイプを立てています。

   また、 大阪市立科学館のページでは、木製の椅子を使っておられるようです。空気が通って、安定してパイプが

   立てば良いので、今回は板を2枚並べただけとしてみました。 ボウリングの球を置く中心部は、転がり防止や、

   最後に上から球が落ちてくる場所でもあるので、ホームセンターで売っているゴムシートを貼りました。 その上に

   球を置きます。

       (写真は、指穴が上を向いていますが、下記の通り、このあと、穴を下に向けます。)

 

   そして、パイプをかぶせます。(立てます。)

      

 

    掃除機のパイプが入る穴を開けた板をのせます。(板は、ホームセンターの端材です。) 他の方がやって

   いらっしゃるように、板とパイプの隙間から空気が漏れにくいように、板の下側(パイプ側)にゴムシートを貼っています。

   また、パイプを挿入する上側にも、ゴムをドーナツ状に丸く切って貼りつけ、空気漏れを防ぎました。

     

  

    また、重要なポイントがあと、2つあります。1つめは、パイプとボールの隙間です。間隙がありすぎると、空気は

   ボールを下から押さず、ボールとパイプの間隙から通りぬけるだけとなります。今回は、パイプの内径219mm、

   ボールの直径218mm(正確には218.4mm)なので、間隙は1mm以下です。 この状態で掃除機で吸い上げると、

   ボールは。下部でガタガタ揺れたり、うまくいくと少し浮きあがりますが、なかなか浮遊しませんでした。うまくいくときも

   ありますが、成功率はかなり低いです。ギリギリのパイプのサイズとしたので ( 他の方もやっていらっしゃるように、

   ボールとパイプの間隙を埋めるため、)ボールの周囲にテープを巻かずに実験が成功するかと期待していましたが、

   実際には不安定でした。このため、他の方同様にボールにテープを巻きました。100均に売られている、3Mの12mm

   幅のテープを巻きました。2重に巻くと安定して浮遊しました。 (他の方は、5cm幅であったり、何重にも巻いていますが、

   今回はパイプの内径が219mmなので、細いテープや、2重巻き済みました。)    

    もうひとつは、ボールの重心です。YPCさんの例会のページにあるとおり、ボールの重心は指の穴のある方に、

   偏っているようです。 はじめは、ボールを置ききやすいので、指穴の開いている方を上にしましたが、不安定でした。

   指穴の開いている方を下にすると安定します。重心が上側にあると、ボールが回転しようとして転がり、ボールとパイプの

   間隙が一方だけ形成され、その部位からだけ空気が漏れるため、ボールがカタカタ音を立てて振動するだけのようでした。

   ですので、指穴の開いている方を下にして置き、赤道に相当する部分にテープを巻くと良いと思います。

   (今回、管理人が行った実験では、ボールが浮遊した際によく見てみると、若干テープの位置が赤道からずれています。しかし、もともと 

     テープを貼らなくとも浮遊する事があるぐらいなので、若干ずれていても大丈夫なようでした。)

 

    

 

    いよいよ掃除機のホースを繋いで、掃除機の電源を入れます。

    −>  見事浮きあがりました。

 

 

 

    そして、掃除機のスイッチを切ると、

     落ちます。 (段階的に切ってくると、スムーズに降ろせます。)

   

  

    動画です。 (動画の編集ソフトで、縦横を変換したら、上下が切れてしまいました。すいません。m ( _ _ ) m  )

 

 

 

 

 

 

 

 

   実際の実験では、はじめに掃除機のホースを直接ボールに当てて吸いつけて持ち上げようとするところを見せて、

  持ち上がらない事を比較実演した方が良いかと思いました。 

   でんじろう先生は、大きな吸盤を介してボウリングのボールを吸引し、大きな吸盤を介すれば吸引したまま持ち

  上げられるという実験をなさっています。吸盤の断面積に比例して、持ち上げられる重さが大きくなるという実験の

  中の延長線上で実演するとより効果的であるようです。

   また、月僧先生のように、吹いても球は動かせないことを確認したり、パイプの下からの空気の流れを遮断し、

  上昇するか確認したりすると、さらに効果的であるようです。 

   いずれも、空気の性質を考えさせるための比較実験として、大切な実験なんだと認識いたしました。 両先生とも

  プロの先生だけあって、管理人の様な素人からみると、なるほどと思うことばかりです。 でも、小学生に対して、

  どのように教えていったらよいか???です。・・・・     取り敢えず、興味を持ってもらえば良いでしょうか?  

 

 

   実験の様子です。  ( 富勢西小学校で行っている 柏市放課後子ども教室での実験です。 )

   

  みんなにやってもらいました。

 やはり、現物をみると、重い球が浮くのが、不思議な感じがします。

 

 

 

 ホーム > 機器・材料一覧 > ボウリングの球

 

                                       千葉県柏市立富勢西小学校  科学クラブ 日記

 

実験機器・材料のページに戻る

                                               

 

 

 

inserted by FC2 system