針穴写真の 現像液 停止液 定着液 などの薬品、暗室用品などです。
- 針穴写真の際の暗室作業に使う 薬品 用品 などの紹介です-
ホーム > 機器・材料一覧 > 現像液 停止液 定着液 など
針穴写真機に暗室内で印画紙(フィルム)を装填し、そして撮影します。 撮影が終わった印画紙を、
暗室で写真機から取り出します。 このページは、その印画紙を現像する時の話です。
針穴写真はカラーでもできますが、カラーだと印画紙や薬品が高価であったり、現像などの際に、薬品の温度管理が
大変です。 また、安全灯(セーフティライト:印画紙が露光しない程度の明るさを持ったライト)も暗く、児童達に暗室
作業をやってもらうのも大変です。 ですので、ここでは、白黒写真についてのお話です。
また、フィルムも通常のフィルムは、一般的に感度が高く、35mmのサイズでは小さいため、(大きいフィルムもありますが)
印画紙をフィルムとして使うことが一般的です。 ここでは、感光材料としては、印画紙を前提としています。 印画紙は、
大きな写真店に置いてあります。 ピンホールカメラで使用するには、やや軟調の2号程度が扱いやすいそうです。
(号数が低いと軟調、高いと硬調) 科学クラブでは、プロジェクションペーパーと言う、乳剤が普通紙に塗ってある、普通の印画紙とは
ちょっと違う印画紙を使用しました。(プロジェクションペーパーですと、コストがかなり安く済みました。しかし、現在は市販されていません。)
ですので、下記の記述は、普通の印画紙と思ってお読み下さい。
印画紙は、適当なサイズに切って使用しますが、安全灯のももとで、作業をしなければ、露光してしまいます。 ですので、暗室
(暗くできる部屋)と、安全灯も必要です。 また、現像液、停止液、定着液を入れるバッドも必要です。(バッドなどは、100均の物で充分です。)
また、各々の液が混ざると処理能力が著しく低下するので、各々のバッド用のピンセットなども必要です。 実際には、液中の印画紙が
ピンセットでは、掴みにくかったりするので、処理液を口に入れたり、目に入れなければ、手で印画紙の隅を持ったりする程度なら大丈夫ですが、・・・・ (^_^;)
その際は、 液は再利用せず、廃棄して下さい。
科学クラブでは、フィルムとして白黒印画紙を使いました。、キャビネ版(12.0x16.5cm)の印画紙が、50枚で
1200〜13000円程度でビックカメラやヨドバシカメラに置いてあります。これを6×6cmに切って使おうとも思い
ましたが、コストがある程度かかるので、管理人の所に保存してあった、FUJIフィルムのプロジェクションペーパー
という、乳剤を普通紙に塗ってある印画紙を切って使いました。(プロジェクションペーパーは、現在は、製造して
いません。) 普通の印画紙に比べ、紙は弱く、解像度やコントラストが劣りますが、このようなちょっとした実験には
充分と思われました。 印画紙は、使用期限が過ぎていても、感度は落ちるようですが、充分使用可能です。
値段ははりますが、普通の印画紙を使った方が、よりクオリティの高い写真が撮影できます。 カラーでも可能ですが、
コストがかなりかかるのと、暗室作業での温度管理が大変です。
(カラーは、ネガ用とポジ用の印画紙があります。ポジ用であればそのまま写真になります。)
印画紙の現像は、光が当たると印画紙が露光してしまうので、暗室を用意しなければなりません。
科学クラブでは、理科室の暗幕を利用しましたが、暗幕はボロボロだったので、テープでとめたりが大変でした。
お家などでは、雨戸を閉めた部屋であれば、日中でも大丈夫だと思います。しかし、真っ暗では、
作業ができませんので、安全灯と言う、印画紙が感光しにくい赤い光のライトを用意します。
写真用品店では、専用の暗室灯が売っていますが、高価なので、自作で安価に済ませるには、以下の様な
もので十分かと思います。
安全灯は、赤い小丸球に、100均の赤いクリアファイルと、赤いセロファンを2重に被せた物で代用できました。
写真は、赤いクリアファイルや赤いセロファンは付けていません。 この小丸球に赤いクリアファイル1枚と
セロファンを2重に被せます。(小丸球は、ほとんど発熱しないので、クリアファイルやセロファンが電球に触れても
大丈夫でした。) そうすることにより、分光器で見てみると、ほとんど青い色の成分は見られませんでした。
しかし、印画紙から1m程度は離した方が良さそうです。(距離によるカブリを確認をしたわけではありませんが、
1mで短時間ならカブリは気になりませんでした。)
写真の様なソケットや板で自作しなくても、電球タイプのスタンドの電球を差し替えてもOKです。
蛍光灯に赤いセロファンを被せても良いのかもしれませんが、かなり明るいので、赤いクリアファイルやセロファンを
何重にも重ねないといけないかもしれません。(蛍光灯は試していません。)
部屋や暗室灯を準備したら、次は薬品などです。
白黒写真は、フィルムや印画紙を、現像、停止、定着という3つの過程で処理をします。
(詳しくは、 こちらをどうぞ。 Wikiのページです。)
現像するには、これらの薬品を用紙しなければなりません。それらの薬品についてです。
左から、現像液、停止液(酢)、定着液(ハイポ)です。
現像液は、既製の印画紙用の現像液です。これは、FUJIのコレクトールです。
1L用×2袋が、入っています。 説明書の通り作製します。お湯で薬剤を溶くようになっています。 容器は、
100均の物を利用すると安上がりです。 価格は、柏のビックカメラでは230円、秋葉原のヨドバシカメラでは、
220円でした。 他社の印画紙用現像液も同様に使用できます。 値段は、それほど高くありません。 自分で、
薬品を調剤しても作製可能なようですが、既製品を購入した方が安いと思います。
停止液は、写真用の物を用意すると値が張るので、食用酢で代用しました。
(このあたりの情報は、以前より色々な所で言われていましたし、でんじろう先生の本等にも載っています。)
家にあったのは、タマノイの酢でした。 適当に希釈しました。 当然、ミツカンでもOKです。
家庭にある物を、どんどん利用しましょう。(当然、停止液として、写真屋さんにも売っています。)
(本当に適当ですいません。 5倍ぐらいにしました。 現像液はアルカリなので、停止液が無くても、現像の後、良く水洗すれば現像はほぼ停止します。
ですので、気合いを入れなくても、良いのかもしれません。(^_^;)
停止液は、金魚のハイポ(チオ硫酸ナトリウム)です。 金魚を飼っている御家庭なら、置いてあるかと思います。
(この情報も、いろいろな所で言われてるかと思います。)
1kgの物が、かねだい我孫子店で、522円でした。(セールの時は、298円になります。)
写真用の物でも、1kgが、秋葉原のヨドバシカメラで、390円です。写真用の物でもあまり高くありません。
(以前は、柏のビックカメラには、500gの富士フィルムの物が置いてあったのですが、最近は粒状性のハイポは
置いてありまあせんでした。) これも、適当に溶解して使いました。 下に沈殿するかしない程度(飽和)としました。
バッドは、100均の物を利用しました。 現像、停止、定着と、それぞれ必要です。また、各々のバッド専用の
ピンセットも必要です。 ( お酢やハイポは、家庭にある物なので、手で触っても大丈夫ですが、各々の液が
混ざらないようにするためです。) さらに、水洗用のバッドもあると便利です。
暗いので、黒いバッドが映っていません。
ここでは、それぞれの液が混ざらないように注意が必要です。 現像、停止、定着液、それぞれの液を専用の
バッドに入れます。 露光した印画紙を、はじめに現像液につけます。このとき、反応しやすいように、現像専用の
ピンセットで印画紙を液内で揺らしながら反応させると、現像ムラなどが起きにくいようです。しばらくすると画像が
浮かびあがってきます。画像が浮かんできたら、現像バッド専用のピンセットを使って現像液から取り出し、停止液に
いれます。このとき現像液専用のピンセットが、停止液には触れないように注意します。 (現像専用のピンセットの
先に停止液がついて、それを再び現像液に入れて使うと、現像液に酸(酢)が入ることになり、アルカリ性の現像液の
現像能力が落ちてしまします。)また、このとき、隣の液に、はねないようにも注意します。
停止液に数十秒入れたら、今度は停止液専用のピンセットを使って、印画紙を定着液に入れます。この時も、先ほど
同様、ピンセットが停止液に触れないように注意します。(定着液に入れたら、安全灯でなく、部屋の明かりを点けても
大丈夫です。)
定着液に2〜3分入れたら、水洗です。数分、水で(できたら流水で)洗います。ここで、良く洗浄しないと
後に変色したり、ムラが出ることがあります。
(手でゴシゴシ洗う必要はありません。(^_^;) 流水に漬ければ十分です。)
そして、乾燥して完成です。
しかし、カメラで撮影した印画紙は、そのままでは、左右反転したネガ(白黒反転)です。
これを、ポジにしなければいけません。
(ここで、スキャナーでPCに取り込んで、白黒反転しても良いのかもしれません。)
そこで、完成したネガを、画像の方を新しい印画紙の乳剤面に密着させ、スタンドなどの光で露光します。
↓ ↓ 光 ↓ ↓
--------------------- ネガ(画像のある面を下に)
--------------------- 新しい印画紙(乳剤面を上に)
このような、透明アクリル板と厚紙に挟んで露光すると、浮きあがりが無いのでやり易いです。
ネガが拡大されず、新しい印画紙と密着して焼くので、ベタ焼き、コンタクトプリント、密着印画等とも
呼ばれています。
光源のスタンドは、小さな普通の家庭用のスタンドです。
そのままでは明るすぎるので、トレーシングペーパーを貼って、減光しています。(スタンドの電球は熱いので、
火災にならないように注意して下さい。) ベタ焼きの露光時間は、ネガの濃度(黒さ)によって変わります。
濃いネガは黒っぽいので、光を通しにくく、その分余分に露光しなくてはいけません。 薄いネガは光を
より通すので、露光時間は少なくて済みます。 露光時間が数秒になるように、減光調節するとやり易いです。
実験では、4〜5秒で適正露光となるように調節しました。
プリントの適正露光時間を決めるには、ベタ焼きの際に、上からネガと印画紙を黒い紙で覆い、露光しながら
少しずつ段階的に黒い紙をずらしていきます。1枚の印画紙上で露光時間が段階的に違うので、それを現像して、
適正露光時間を決める事ができます。
↓ ↓ 光 ↓ ↓
--------------------- → 黒い紙(段階的に引いていく)
--------------------- ネガ(画像のある面を下に)
--------------------- 新しい印画紙(乳剤面を上に)
しかし、1枚の印画紙が小さく段階的な露出は決めにくいかもしれません。 また、ネガさえあれば、ポジの
焼き直しは何枚もできるので、コストを気にしなければ、何枚か露光時間を変えて露光し、現像して適正露光時間を
決めても良いかもしれません。
露光した後は、先の処理と同様、現像、停止、定着、水洗、乾燥、と処理をします。
上記の操作で、左右反転や白黒反転がもどり、見た目と同様な写真になります。
(白黒だと、昭和にタイムスリップしたようです。)
拡大したい場合、普通のフィルムであれば、引き伸ばし機という、印画紙用のプロジェクタのような機械を
使います。しかし、ネガが印画紙なので、光はフィルムのようには透過しなため、引き伸ばし機は使えません。
このため、印画紙のネガをスキャナーでPCに取り込み、取り込んだネガの画像をPCプロジェクターを使って投影し、
投影画像に合わせて大きめの印画紙置いて露光をするようにすれば良いと思います。
(こんな、面倒な事をしなくてもPCの中で、画像ソフトでポジネガ反転をして印刷すれば良いのかもしれませんが・・・・(^_^;)
しかし、適正露光時間を決めるまで、かなりの試行錯誤が必要と思われます。
管理人は、過去に暗室内で、スライドプロジェクターにスライドやネガを入れて壁に投影し、壁に投影された画像の
部分に印画紙などを置いて露光し、引き伸ばしをしたことがあります。その際に、露光時間の決定に難渋した記憶が
あります。プロジェクターの光は、引き伸ばし機と比べると結構強力で、減光に手間がかかりました。
また、プロジェクターのレンズは、引き伸ばし機ほどシャープではなかったです。でも、手元にある材料や機材を
使っていろいろやってみるのが、おもしろかったです。
千葉県柏市立富勢西小学校 科学クラブ 日記