自作 エレキテル 

                                                        - 構造的には 学研のエレキテルのパクリです  (^_^;)   -

                                                     -  なるべく、100均の材料を用いました。   −

                               

                                   

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     (暗くて見えにくいです。すいません。)

 

 学研、平賀源内のエレキテルを参考に、摩擦式の静電起電機を作りました。

学研のエレキテルが小さいため、(子どもたちの前では、)子どもたちからは詳細が見えません。

構造や動作原理を見てもらうため、製作しました。

 

 見かけは、ちょっと不気味です。  塩ビ管のエンドキャップ二つを張り合わせ、ドラムにしています。

これと、脱脂綿(綿)とで摩擦し、発電する仕組みです。 (回転するドラムは塩ビ、擦る素材は綿、 

という組み合わせは、学研と全く同じです。) 帯電列の違いにより、綿がプラスに、塩ビがマイナスに

帯電し、帯電した電気を金属で集電する仕組みです。

 

 いかにもチープな外観です。 

 学研の物は、ライデン瓶は内部の上部にある平面上のコンデンサーでしたが、こちらは、100均のソース差しです。

放電電極は、ライデン瓶(ソース差し)の上に、100均の真鍮製のワイヤーで作製しています。

学研の物より大きいので、より迫力のある放電が見られます。

( 写真は、湿気のあるときに撮ったので、放電距離は小さいです。それでも、ライデン瓶が大きいので、より太い放電です。)

 ( 触ると結構しびれます。)

 

 

イメージ動画です。

 

 

 

 

 全体的な概略図です。 以下のような構造です。

       

 塩ビドラムの起電部とコンデンサーであるライデン瓶、放電電極が並列につながっています。

 

 

 

各部位を見ていきます。 

 

 

 

 ドラムです。

塩ビ管のエンドキャップ2個を接着し、ドラムとしています。(中は、空洞です。)

( 子どもたちに、中に何か入っているのでは? と 疑われることがあるので、 一つだけにすれば良かったかもしれません。

  一つでも、接触面積は半分になりますが、そこそこ起電はするものと思われます。 または、向きを逆にして、

  開いている方を外側に向けても良かったと思いました。 そうすれば、中は見えますし、接触面積も同じです。 )

中心に穴を開け、長ボルトを通し、軸としています。 空回りしないように、ドラムの両側からナットで締め付けています。

長ボルトは、軸受に使ったボビンの穴の内径が約6mmなので、径M 6(6mm)のボルトを使っています。

また、回してる最中に、支柱と接触しないように(ぶれにくいように)、透明な樹脂製のスペーサーを入れました。 

( ストローの輪切りでも良いと思います。)

 

 

 

 下部の集電電極です。

 

100均のアルミ板(粘着付き)を切りだし、脱脂綿を貼っています。

効果があるかわかりませんが、少しでも集電が良くなるかもしれないので、

中ほどに、やはり100均の銅のテープを張っています。

(うっすら綿から透けて見えると思います。なくても多分、性能には影響ないと思います。なぜ貼ったかというと、

 アルミ板が粘着付きだったので、粘着部の絶縁性が高いと、うまく集電できないかも・・・ と、思ったからです。

  粘着の無いアルミ板に、両面テープで数カ所、綿を固定するだけなら全く必要ないです。)

アルミ板の端に穴を開け、電線をねじ止めしています。

綿を張ったアルミ板を、ドラムの下部から、塩ビ管で支えています。

綿以外に、ウールの入ったフェルトや、100均のポリエステルのフェルトなど、いくつか試しましたが、

学研のキットのように、脱脂綿が一番安定して発電ができたので、脱脂綿を使いました。

綿がむき出しになっているためか、湿度が高いと、学研のほうが安定して発電します。

そのような時は、ドライヤーで乾燥させると、良く起電します。

 

もう一方の集電電極です。

加工精度が悪く、軸が正確に中心を通っていないため、ドラムの回転時にドラムがぶれます。

このため、集電用の電極であるボルトと、ドラムの距離が一定せず、電極をドラムから離さなければなりませんでした。

安定して起電しないため、ボルトにアルミホイルを巻いて一端をドラム側に伸ばし、端をドラムに接するくらいにしてあります。

この電極のボルトを、塩ビ管で支え、端に電線を繋いでいます。

 

起電部は、このような構造です。

   

 アルミ板の集電電極やボルトの集電電極は、絶縁性が必要なので、塩ビ管で固定しています。

 (絶縁性が高い物であれば、別に塩ビである必要は無いです。 しかし、木だと絶縁性が低いと思われます。)

 

 

 

 

 支柱、底板ハンドルです。

  

 支柱は、100均で手に入れた、円柱の木材です。 下部の板は、ホームセンターの端材売り場で売っていた

ベニヤから切り出しました。 底部から、木ネジで固定しています。

(板は、90cmX30cmで、80円でした。このうち、約1/3を使っているので、約26円です。 板の残りは、バンデとウィムズの下部に

使いました。 塗装してある方が、絶縁性が高いかと思い、塗装してある方を使いましたが、あまり影響は無いかもしれません。)

 

 軸受には、100均のポリカーボネート製のミシン用ボビンの片方の円板を切り取って使いました。

サイズは、図のようでした。支柱に8mmの穴を開けて、軸受を差し入れ、その中に、ドラムの軸である

径6mmの長ボルトを通しています。 そして、グリースを付けています。  (無ければ、スプレー式の潤滑剤や、

食用油でも良いと思います。 軸受けが摩耗したら、軸受だけ交換すれば良い訳です。)

 

 ハンドルは、ボルト・ナットとチドリで作製し、指の当たるところは、透明な樹脂製のチューブをはめています。

写真では分かりにくいと思います。 以下の図ような構造です。

    

上記の様に、クランクを作ってハンドルとしています。

底部には、100均で売っていた、家具等の下に貼る粘着付きのフエルトを貼り、安定性を図りました。

 

 

 

 

 ライデン瓶は、このようになっています。上部に、放電電極を設けています。

        

 ライデン瓶は、コンデンサーなので、回路図の通り、2枚の接した金属板がある構造です。 

学研のエレキテルは、樹脂製の板の両側にアルミテープを貼るという、回路図通りの平面のコンデンサーでした。

ライデン瓶は、容器側面の内外に各々金属の板(箔)が貼りついていて、そこが電荷を貯める部位となっています。

ですので、金属の板(箔)は、断面図的には2重の同心円型、立体的には円筒型(正確には円錐型?)です。 

今回は、100均のソース差しを使ったので、ソース差しの蓋を開け、外と内の側面に、それぞれ100均の粘着付きの

アルミテープを貼りました。(内側に貼るのが難しいと思います。ピンセットなどを使って貼りました。 この内外の

側面に貼ったアルミテープがコンデンサーの金属板になります。)

 放電電極は、金色で綺麗なので、100均の真鍮製のワイヤーにしました。(被覆が無いものや

カラーコーティングしていない物、また、さびていない物なら、どんな針金でも良いかと思います。 )

一方の放電電極(上図の左側)は、外側のアルミテープの上から重なる(接する)ように、ワイヤーを周囲にぐるっと1週

巻いてからねじって固定し、一端を上方に伸ばします。 もう一方の電極(上図の右)は、コイル状にしたワイヤーを、

内側に貼ったアルミテープに接するように、容器内に挿入します。(なかなか安定してくれないと思います。容器より

大きなコイルにして、コイルの先端をピンセットやペンチの先でつまみ、ぜんまいを巻くようにコイルを絞りながら

容器内にさし入れて、中で開くようにすると良いと思います。また、安定しなければ、スチールウールなどを詰めて

安定させても良いと思います。) ワイヤーの上部は、ソース差しの口から外に出して、蓋を閉め、図の様に曲げて、

さらに先端を丸めました。 両方の先端を図のように整えます。間隔は、5mmぐらいにしておきます。

(静電気などの高圧の実験の場合、放電電極の先端は、むやみに空気中に放電しないように球形の方が良いようです。

 小さな金属球をワイヤーの先につけようかとも思いましたが、コストを減らすため、結局、学研のエレキテルの様にしました。)

 

 アルミ板やアルミ箔を巻いたボルトの集電電極から、上部に放電電極のついたライデン瓶への接続は、

ビニール線で行いましたが、線の先端に、100均に置いてあった電気実験用みの虫クリップを使いました。

こうすることにより、他の静電気の実験器具への接続の切り替えが容易となります。

 

 放電電極の間隙の調節ですが、3mm〜5mm程度であれば、簡単に放電すると思います。 乾燥した日などは、

8mm程度まで放電しました。 しかし、その分いっぱい電気を貯めないといけないので、より多くハンドルの回転を

しないといけません。 10mmでは放電しませんでした。 塩ビと綿の摩擦で発生できる電圧は、5000V程度のよう

なので、これ以上の間隙では放電しないと思います。 その時の湿度などに左右されますので、起電しにくい時は

綿の部分をドライヤーで乾燥すると良く起電します。

 

 材料費は、1000円前後です。ほとんどが、塩ビのドラムの値段です。ドラムを小さいものにすると、

もっと安くできそうです。 工具は、ドリルなどの穴あけの工具程度は必要です。アルミを切りだす際などは

金切りばさみなどがあれば理想ですが、ホームセンターに売っている 0.3mm〜0.5mmの薄いアルミ板であれば、

普通のはさみでも十分切れますので、金属加工用と割り切って、100均の万能ハサミなどを金属加工用にして

しまうのも良いかもしれません。

(もし、作る際は、怪我などしないように、手袋や安全メガネの着用をお願いします。あくまで、自己責任でお願いします。)

 

 

 放電部電極の距離や湿度にもよりますが、現在は、ハンドルの回転が10回程度に一度、放電が起きます。

Narikaの静電高圧ゼネコンのようにギヤを使ったり、プーリーを使い、回転比で回転を稼げれば、

もっとバチバチして、効率的に発電できそうです。

 装置全体が軽いため、ハンドルを回す際に、装置が動かないように、もう一方の手で下部を押さえなければ

なりません。板などをもっと重いもので作ったり、板の下部などに重りを付けた方が、片手でスムーズに回せるので

良いかもしれません。 本物のエレキテルのように、立派な化粧箱に入れてみたくなりました。

 

 

(参考)  鴇田滋樹さん  静電高圧発生装置の開発裏話  RikaTan「理科の探検」 2007年11月号 P.26-29  

   こちらの記事に、手回しの 静電気発生装置、静電高圧ゼネコンの開発秘話も書かれており、参考になりました。

 

 

 

 

 

 

 この機械を製作した後で気がついたのですが、製作前に、ネットで「エレキテル」、「自作」のキーワードで、

ネットでの検索をかけたことがなかったのです。 (学研のエレキテルの動作を真似しようとばかり思っており、

上記のRikatanの記事以外に、他の方々の情報を収集していませんでした。)

検索をかけると、参考になるページがいくつもありました。

 

岐阜物理サークルさんのこちらのページでは、手回し摩擦起電器の紹介がありました。

   切り開いた塩ビ管で、中の回転部分の塩ビ管を保持しています。 学研のエレキテルを真似ることしか考えてなかったので、

   塩ビ管で塩ビ管を固定するとういうアイデアは、私には全く浮かびませんでした。しかも、手持ちで便利です。

 

えれきてる研究会さんのこちらのページでは、私のよりもっとスマートなエレキテルが紹介されています。

   大きな物や、回転部に塩ビを使っているものは、こちらで、すでに作っていらっしゃいました。

   偶然にも同じよう形の物もありますが、作り、仕上げがとても丁寧です。 

   エレキテル製作講座に紹介されている物は、ドラムの一部だけ、綿のようなものが当たっています。

  擦れば良いのですから、綿などをドラムの半周も擦りつける必要はなく、一部でいいわけです。

  よりコストがかからずに済みそうです。 やはり、いろいろと、考えられています。

 

平賀源内のエレキテルの模型作成を通した電気の学習という資料にも、いろいろありました。

   こちらでは、すでに、塩ビ管のキャップと思われるものを使って、ドラム状にして使っておられました。 

   やはり、すでにこのようなものは過去に作られていたのですね。

   また、ペットボトルを利用した、ハンディタイプの物も紹介されていました。

 

また、その名も、平賀源内記念館には、エレキテルの自作キットが販売されているようです。

  どの様な物か、拝見したいです。 そちらの科学教室では、作製したこともあるようでした。

 

 

これらのページを拝見すると、すでにいろいろな方々が、いろいろ工夫を凝らしてして作っていらっしゃいました。

私は、ただ学研のものを真似しようとして作っただけで、まったく工夫がありません。

他の方々の作品を拝見しましたが、自分のアイデアの無さ、工夫の足りなさを痛感いたしました。・・・

 

 

 

 

 <  追 記  >

国立科学博物館にいったところ、 新館(地球館)2階に、エレキテルの模型が展示されていました。

ページは、こちらです。

結構、大きいですね。実際に動作しているところを見てみたいです。

 

 

また、たんけん広場には、このような静電起電機が展示してありました。

解説は、こちらです。

夏でも、起電していました。ケースの中に入っていました。中は、乾燥しているのでしょうか。

塩ビ管の長さは、長いですし、擦る繊維は、ガラス繊維だそうです。

管理人は、脱脂綿やフェルト、ウール入りのフェルトなどは試しましたが、

グラスウールは、全く思いつきませんでした。 やはり、プロの方にはかなわないと思いました。

今度、実験してみたいです。

また、この機械には、フランクリンモーターや電気振り子等が接続されていて、動作していました。

これだけのものを動作させられるので、起電力はかなりな物と思われます。

大きな起電機を作りたくなってきました。

 

 

                                                

                  

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