ピンホール プラネタリウム 製作記

 恒星球            

   

                          

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  ピンホールプラネタリウムの恒星球は、言わばプラネタリウムの心臓部です。投影装置側としては

 恒星球と光源電球があれば、とりあえず星は映せます。基本的には、光源を遮光する板や容器に

 星の配置や明るさに応じて位置や大きさを一致するように穴を開けただけの物です。穴から漏れた

 光が(ドーム)スクリーンに映って星に見えるという物です。原理や詳しいことは、こちらの大平さんの

 ページにすべてが書かれているので、そちらを参考になさってください。 (ピンホールプラネの教科書!)

 管理人が製作時に、このページに出会っていたら、もっとレベルの高い物が出来たと思います。

 

  管理人のプラネタリウムは、アルミ製のサラダボールに、星図をみながら星をプロットし、ドリルで

 穴を開けただけの物です。原始的な方法で申し訳ないです。レベルの高いプラネタリウムを目指す

 方には、このページは何の参考にもならないかと思います。・・・

 

                   

     北半球の恒星球です。この写真では、まだ、根部に惑星投影機、月投影機は、ついていません。

   

  このプラネタリウムは、完全2球式のピンホール方式となっています。 半球が二つでなく、

 完全2球式なので、スペースが無駄となっています。・・・

 

   恒星球は、約4半世紀以上前の大学時代に作った物を流用しています。(歳がばれますね。(^_^;) 

 5等星まで、全天で2700個投影できます。当時の夏休みを全部、穴あけ作業に費やした記憶があります。

 当時は、インターネット等は無く、書籍「天文の工作百科」(地人書館)の中の記事、「簡易プラネタリウムの

 製作」だけを頼りに、製作しました。翌年、恒星球を更に大きくして、6等星までに星数を増やしたので、

 こちらの恒星球はお役御免となったのでした。 (新しい方は、直径が40cm以上あったので、星像がシャープでした。)

  一人で、かなり時間をかけて製作した物なので、捨ててしまうにはもったいないので、捨てずにとって

 おきました。以前から、いつかは再度プラネタリウムの形にしたいと思っていましたが、普通に生活して

 いたのでは、作る機会はありません。他のページにあるように、管理人の子どもがお世話になっている

 富勢西小学校のときわぎ祭という文化祭のようなイベントがあったので、それを機に製作をしています。

 恒星球のプロットや穴あけの作業には、かなりの時間を費やします。実際に製作に費やせる時間も

 無い事もあり、昔に製作した恒星球を押し入れから引っ張り出しました。約四半世紀振りに復活です。

 

 

  最近では、リスフィルムなどを使って恒星球を作るのが、星数も多く、正確にプロットできるので、

 良いのかもしれません。リスフィルムではベースの材質は樹脂ですので、耐久性にやや問題があり、

 大切に扱わなくてはいけません。(ウィルシステムデザインさんのように、透明半球のカバーを被せれ

 ば良いのかもしれません。) 小学校の上映となると、「触らないで下さいと」伝えても、低学年の子の

 中には必ず触る児童がいます。その点、この恒星球はアルミ製で丈夫ですので、小学校の児童が

 ちょっと触ったぐらいでは、凹んだりしません。大切に使えば、半永久的に使用可能です。

  

 

   なぜ、完全2球式になってしまったかというと、天文の工作百科の記事の通り、はじめは1球式で、

 北緯35度(東京)付近の星空までが投影できればよいと思い、北のみの1球式で製作をしました。

 90−35(北緯)=55(南緯)なので、天球の座標上で南緯55度+αまでを穴あけしています。

 (北の恒星球だけで、東京付近の緯度まで投影できます。) しかし、製作途中に、南半球の星座も見てみたい

 と思い、南半球の星座を追加することになったのです。 南北のバランスをとるため、半球二つで

 はなく、完全な球が二つとなりました。このため、無駄に大きくなりました。(カウンターウェイトを用いて

 南は半球でも良かったかもしれません。) 

 

  初期の予定では、月や惑星の投影装置をつける予定なので、恒星球を支える首の部分が

 長くなっています。( スリップリング(ローターリー接点)等をコンパクト化する技術力が無かったので、結果的に

 更に大きくなってしまいました。  その後、月や惑星投影装置を実装しています。) 

 

  南北二つの恒星球の星像の位置合わせは、ちょっと苦労すると思います。 いくつかの学校の

 プラネタリウムの上映を拝見しましたが、歪なオリオン座のプラネも散見されました。(オリオン座は、

 明るい星が多いので、形がいびつだと目立ちます。 苦労の跡がわかります。(^_^;)   このプラネタリウムは、   

 北半球1球で、天の赤道を越えて投影するので、オリオン座等の赤道をまたぐ星座のつながりが、

 比較的良いです。

 

    冬の大三角のあたりです。 ( GIMPを使って、かなりトーンカーブをいじっています。)

 

 ミンタカなどは、ほぼ赤道上にあるので、このプラネタリウムでも、ちょっと苦労しましたが、北半球

 1球で投影しているので、2つの半球式のプラネよりは調整は容易です。(上下二つのサラダボールどうしを

 接続しているフランジ(つば)にあたる部分に、光が漏れないようにゴムのパッキングをしたり、外側から黒いビニールテープを

 貼ったりしています。それがずれて、ミンタカを隠したことがありました。(^_^;) 

  南北二つの恒星球の星像の位置を合わせる際に、光源の電球の位置については、

 愛知教育大学の天文愛好会CORE様のこちらのページに詳しい解説があり、参考になります。

 このプラネタリウムは、南緯55度あたりで、北の恒星球と南の恒星球がつながりますが、きっちり

 南緯55度で切り替えたわけではありません。南緯55度あたりの星座の境界線で分けたので、

 光源の電球の位置調整は、2半球式のプラネタリウム程は神経質にならなくても良いです。

 

 

 

 

  先にも述べました通り、恒星球の材料は、直径27cmのアルミ製サラダボールです。柏の高島屋の

 食器売り場で、買った記憶があります。大きい物を使った方が星像がシャープになるので、本当は

 もう少し大きな物が欲しかったのですが、自分の予算の都合で、2個が買える最大の物を購入した

 記憶があります。 当時の学生の小遣いでは、ちょっとした出費でした。(後に、南半球を追加したので

 最初は北の分の2個購入しました。ほとんど個人的趣味の天文同好会だったので、大学の文化祭実行委員からの予算は

 もらえませんでした。 (T_T)

    購入後、底を石で打ち出し、球状に加工後、経線、緯線を書き入れ、「野外星図2000」

(誠文堂新光社:現在絶版)を利用して、プロット行いました。手で、プロットしたので、正確さは不安

 でしたが、出来る限り正確にプロットしました。 

 

 

 

 恒星の原板について ------------------------------------ 

  手作業でプロットを行わず、型紙を使って行う場合、型紙が、いくつかのページにアップされています。



  球体でしたら、サレジオ高専のページにあります。

  作成なさる大きさに拡大すれば良いと思います。

      http://www.salesio-sp.ac.jp/_gmemo/planetarium/pln_pattern.pdf

 


  恒星球をリスフィルム等で作成なさるのでしたら、  

  32面体の物は、以下のページににアップしてくださっています。  

  時間と人手があれば、リスフィルムでなくても樹脂や金属に穴をあけて、後から32面体に

  組んでも良いと思います。原板が何枚にも分かれるため、穴開け作業は、複数の人で

  手分け作業が可能です。

   http://tenmonnikki.blogspot.jp/2010/09/blog-post.html

 


   完全な自作からは離れる?のかもしれませんが、学研 大人の科学 

  プラネタリウムの原板も手に入ります。

  7月に新型が発売されました。新型の方が星像がきれいです。

  (しかし、ちょっと星が暗いかもしれません。小さなドームで上映し、更に時間がない

   場合の選択肢の一つかもしれません。)

   2013年10月現在、新型の方は原板のみが、『恒星原板セット』として、送料込み1000円で  

   通信販売されていました。なくなり次第終了とのことです。(恒星原板の通販が終了しても、

   本屋さんで、雑誌ごとであれば購入可能です。) これを原板に使っても良いかもしれません。

 

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   普通は、恒星球の外側から穴あけをすると思います。 プロットや穴あけの際の注意点は、

  天球を外側から見ていることになるので、 裏返しにプロット、穴あけ 

 をすることです。これを、間違えると、苦労が水の泡となります。 お気を付けください。

  (恒星球の内側から穴あけをすれば、裏返しにする必要はありませんが、・・・ 普通はしないですよね。(^_^;)

 

 

 

 そして、穴あけです。結構、穴あけも根気のいる作業でしす。 

 (最近なら、レベルの高い人は、NC機器を使って、個人レベルでも、アルミボール(球面上)に穴あけが出来るかもしれません。)

 

  恒星の穴の大きさは、当時入手したドリルの刃の直径によって決まりました。当時、秋月電子で

 タンガロイの再研摩のドリルの刃が、10本入りで売られていました。太いものから順に、1等星:

 1.3mm、2等星:1.1mm、3等星:0.9mm、4等星:0.7mm、5等星:0.5mm としました。参考にした

 書籍「天文の工作百科」(地人書館)の中の記事、「簡易プラネタリウムの製作」の中には、

 ポグソンの式などは記載されていなかったと記憶しています。ですので、ポグソンの式の通りに

 なっていません。(大平さんに叱られそうです。(^_^;)) 

  しかし、結果的には、輝星が肥大せず、個人的には、この方が好みです。輝星が肥大するのは、

 あまり美しくないと思っています。

  上の投影された星を撮影した写真では、シリウスが1番明るくないのは変ですね。・・・ 

 1等星以上は、みんな同じ穴の大きさなのですが、・・・。 ドーム面が光沢のため、角度により

 反射する光量が変わって、このように写ったのだと思います。肉眼では、それ程目立ちませんでした。

  現在の状態では、輝星が目立たず、慣れないと星座が見つけにくいので、今後、少しだけ輝星を

 大きくしようと思います。

 

  星像の大きさ: 1等星が 1.3mmの穴です。 ドームの半径は、2.5m(250cm)です。 恒星球の

            半径は、13.5cmです。 光源を点と仮定した場合、1.3×250÷13.5= 1.78cm 

            となります。もう少し大きくても、違和感はないようなので、もう少し輝星の穴を

            大きくしようかと思っています。(実際にはフィラメントの大きさがあるので もう少し大きいです。)

 

   穴あけの後は、バリを丁寧に取りましょう。バリ取り専用の刃もある様ですが、一回り大きな

  ドリルの刃でバリ取りをしました。(穴の周囲が少し凹みます。)

   また、細いドリルの刃は、すぐに折れてしまいます。0.5mmの刃は、何本折ったか分かりません。

 

 

  そして、接続部の穴あけや塗装です。(塗装は、管理人は恒星の穴あけ後にやりました。)

 艶消しの黒をスプレーで塗りましたが、一度で厚めに吹きつけようとすると、塗料が垂れてしまい、

 せっかく開けた恒星の穴が塞がってしまいます。遠くから薄めに薄めに何度も吹きつけていきました。

 薄く何度も吹きつければ、0.5mmの穴もふさがりませんでした。アルミのサラダボールで製作する場合、

 内面をそのままにしておくと反射するので塗装は必須です。外側は、上映には直接関係が無いので、

 そのままでも良いですし、塗装しても良いと思います。WATANABEやGOTOのメーカー製のように、

 天球儀のように星座を描けば、学習用にも良いと思います。

   

 

  ここまで来れば、恒星球は完成です。恒星球の半球を電球にかざして内側から見れば、

 それだけでも雰囲気が味わえます。(一人しかみられませんが)

 

 

  手作業でのプロット、穴あけ作業でピンホールプラネタリウムを製作する場合は、ほとんどが

 恒星球の製作に時間を取られます。ですので、かなり余裕を持って製作の計画を立てないと、

 文化祭などに間に合わないと思います。(管理人は、学生時代、夏休みを丸々これに費やし

 ました。)  余裕が無いと星数を稼げず、4等星までしか穴あけが終わらないと思います。

 そのような場合でも、天の川に沿った星座だけでも、5等星までプロットすれば、見栄えがすると

 思います。

 

 

 

  惑星投影装置を製作したので、同様に輝星投影装置も製作してみたいと思っています。

 1等星の数(1等星以上の明るさの恒星数)は21なので、投影用のレンズを21個用意しました。 

 しかし、輝星投影器を取り付けるスペースが、本体にありませんでした。 ・・・  今後の課題です。

 

 

 

 

 

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