歯車楽器  

                                  - 音の実験に使いました。 歯車楽器そのままです。なんの工夫もありません。(^_^;)  -

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 音の実験をするにあたり、「ガリレオ工房の身近な道具で大実験 第1集」の本を見ていました。

48ページの鈴木久先生の「わた菓子楽器をつくろう」という記事に、歯車楽器の紹介がありました。

(空き缶の側面に穴を開け、缶の中に砂糖を入れて熱して溶かし、缶を回転させて穴から出てきた溶けた砂糖の糸を、

割り箸を使って取り、わた菓子を作るの物が、わた菓子製造器だそうです。 そこで、空き缶の側面の穴を歯車楽器の音階の

歯数に基づいて開け、缶を回転させて、穴に向かってストローで息を吹きかけて鳴らす楽器が,わた菓子楽器とのことでした。)

1920年のW.H.ブラック「音の世界」という本で、歯車楽器が紹介されているそうです。

  ( ネット上を探したのですが、ブラック先生のオリジナルの英文の記事、本は見つかりませんでした。もうすこし探してみます。

    日本語訳は、平凡社 「世界教養全集 30巻 」 1974年刊に 音の世界 が収録されているようです。今度、図書館などをあたってみます。  )

 歯車の歯数が、24, 27, 30, 32, 36, 40, 45, 48 と並べて同時に回転させ、ひとつひとつの歯車に名刺をあてると、

音階がでてくるとのことでした。 はじめは何の事かさっぱり分かりませんでした。 同時に回転といっても、ギアの歯が

かみ合うように並べて、回転を伝達して同時に回転させるのかとばかり思っていました。

 検索サイトで、歯車楽器で検索してみると、 飯田洋治先生のいきいき物理わくわく実験の歯車楽器が、いくつも出てきます。

この中の、You Tubeの画像の 歯車楽器(紙編)を見てみました。なるほど!と思いました。 歯車は、同じ軸に通して

同時に回転しています。 はじめの24歯は下のとなっています。その次は、24の9/8で、27、 5/4で30

4/3で32ファ、3/2で36、5/3で40、15/8で4548歯は1オクターブ上のドとなっているのです。

軸が1回転する間に、24歯の歯車は名刺を24回振動させ、27歯の歯車は27回振動させ、・・・と、ドレミの音階が

出るように歯車の歯数を組み合わせてあるのでした。 

 また、同じく飯田先生の 「音と楽器の秘密を探る」 という記事も 大変参考になりました。いろいろな楽器の紹介や

歯車楽器の進化系統樹などがあって、音階と振動数の関係や、わた菓子楽器の歯車楽器における位置づけが分かりました。

 歯車楽器の原理が分かった所で、早速、材料をあつめました。

 

 

  1. 歯車     これがないと始まりません。 ピンホールプラネタリウムの製作の際にもお世話になった

 協育歯車工業さんにお世話になりました。 御徒町に会社があります。一般向けにも、店頭で直接販売

 してくださっているので、秋葉原に行った際に、寄らせていただきました。親切に対応して下さいます。

  ギアは、ポリアセタールという樹脂製の物の方が、概ね金属性よりも安いようです。(金属製のほうが安いことも

 あるようです。) このため、樹脂製の物を購入しました。 モジュール1(歯と歯の間が1mm)、 軸の穴径8mm 

 に統一しましたが、 歯数27は、ポリアセタール製がなかったので、金属製になりました。

 ( S1D 24B-0808 という製品が、24歯のギアです。24の部分が 歯数を表しているので、この部分が他の歯数では変わります。)

  

    以下は、購入した歯車です。

音階 ファ ファ
C D E F G A B C2 D2 E2 F2 G2 A2 B2
歯数 24 27 30 32 36 40 45 48 54 60 64 72 80 90
ドとの関係(倍〉 9/8 5/4 4/3 3/2 5/3 15/8 2 9/4 5/2 8/3 3 10/3 15/4

  96の歯車があれば、上のド(C3)までできたのですが、96歯の歯車はありませんでした。 上のシ(B2)まで

 となりました。

  

  2.  軸 (シャフト)      歯車の軸穴径が8mmでしたので、8mmのシャフトを探しました。 

 近所のホームセンターを、探しましたが、軸は適当なものがありませんでした。 価格的には、8mm径の

アルミパイプか、8mmの長ネジが候補でしたが、価格の点から、長ネジとしました。(長さ250mm)

 

  3.  ベアリング     近所のホームセンターには、中心の穴径が8mmのベアリングが置いていませんでした。

 このため、10mmの穴径のベアリングを購入しました。  このため、外径10mm、内径8mmのアルミパイプを

 短く切って径をあわせ、カラーとしました。

 

  4.   L字金具     ホームセンターに売っている 一般的なL字を使用しています。 

 

  5.   モーター    しっかりしたモーターを使おうと思いましたが、秋葉原で部品を調達する時間が無かったため、

 模型用のマブチモーターとなりました。 RE-260です。 (現在は、RE-260RAと型番が変わっているようです。)

 固定具は、ホームセンターのL字金具を曲げて利用しました。 音が、ギュイーーン となって、歯車楽器の音を

 かき消してしまうかもしれないのが不安でした。 

 

  6.   ギア または プーリー (動力の伝達)   こちらも、しっかりしたものを購入する時間が無く、

 模型用のタミヤのプーリー(S)セットを 利用しました。

 

  7.  その他、木材 ネジなど    下部の板は、ホームセンターの端材売り場で、売っていた木材です。

  他に、ベアリングをL字金具に固定するつば付きネジやナット、シャフトに歯車を固定するM8のナット、L字金具を板に

  固定する木ネジなどを用意しました。

   電源は、電池でも良いのかもしれませんが、今回は家にあった、3VのACアダプターを使用しました。

 

   これらを、下の写真のように組み立てました。見たままなので、難しい所は無いと思います。

  ギアは順番に長ネジに通し、両側からナットで締め付けているだけです。シャフトの方が若干細いので、

  偏心しているようでした。アルミテープなどで、間隙を埋めても良かったかもしれません。

  ( 実用上は、ほとんど問題ないようでした。)

   

   

   モーター側からです。

   

   輪ゴム1本だけの動力の伝達だけでは頼りなかったので、50mmプーリーを2枚使い、輪ゴム2本で

  動力を伝達しています。

 

    動かすと、ベアリングの部分で、カタカタ音がしました。8mmの長ネジと、カラーとして使ったアルミパイプ、

  また、カラーとベアリングの間に、微妙な隙間があり、音が出ているようでした。 それぞれ、アルミテープで

  間隙を埋めた所、スムーズに回るようになりました。

 

   本当は、回転数を調節し、絶対音階に合わせたいと思っていました。 しかし、時間や材料がなかったので、

  今回は調節できませんでした。 今後の課題にします。

 

   ラ(A)の 40歯のギアを、 440Hzの振動数で鳴らすためには、440÷40=11 なので、シャフトを

  毎秒11回回転させれば、絶対音階になると思います。 ( 1分あたり 11×60=660回転 (rpm) )

  ( 上のラ(A2)を440Hzにするならば、 上のラは、80歯なので、440÷80=5.5 毎秒 5.5回転、  1分あたり、 

   5.5×60=330 (rpm) となります。)

   モーターの回転数は、RE-260の場合、 3Vで、適正回転時、8900rpmとのことです。(箱に書いてました。)

  それなので、8900÷660=13.48 なので、 13.48の比で、ギヤやプーリーを使って回転を落とせば

  良いこととなります。 しかし、実際には、シャフトの回転の抵抗や、演奏の際に紙をギアの歯に押しつけると、

  さらに回転に対する抵抗となるので、モーターのトルクに余裕がないと、回転が落ちてしまいます。

  ( 今回製作した物も、上の音階に行くほど、紙を軽く押しつけるだけで、回転数が落ち、音程が狂いました。)

   今回は、モーター軸 2mmと シャフト側のプーリー径が50mmなので、計算上25分の1に回転が落ちている

  こととなります。 計算上、シャフトの回転は、8900(rpm)÷25=356(rpm)なので、1秒当たりでは、

  356÷60=5.93 回転です。 下のド(C)は、24×5.93=142.32Hzで鳴っている事となります。

   絶対音階のある管理人の子どもに聞いてみると、ド(C)の所は、ソに聞こえるとのことでした。 実際には、

 回転の抵抗や 歯車に紙を押しつけるための抵抗などもあり、計算通りには行かないようです。 もっと、トルクの

 あるモーターを使い、モーター自体の回転数の制御をしたり、ギアやプーリーの比を調整したりして実際の発する

 音を聞きながら(測定しながら)調節しないといけないようでした。 完全な楽器になるまでには、まだまだ道のりが

 遠いです。

  

  しかし、音の実験と割り切れば、1秒間の振動数の比が音階を決めるということが、(絶対音階ではないですが)

体感的にわかってもらえるような気がしました。

 

  

  実際の演奏の様子です。 大きな音を出そうと、紙を強く押しつけると、音程がずれてしまいました。

 しかし、そのほうが、子どもたちが直接指でさわっても怪我をしないので、安全ではありました。

 ( なかなか両立させるのは 難しいようです。 両立させるには、トルクのあるモーターを使い、ギアを完全に

  ボックスにいれて、キーボードの操作によって紙片がギアの歯に触れるなどの装置を作る必要があると思いました。)



  実際の実験の様子です。

   柏市放課後子ども教室での実験風景です。

 

 

 



 カエルの歌 です。 輪唱になってます。 

 

 

 





 ドレミの歌 です。  

 大きな音を出そうと、強く紙を押しつけると音程が下がってしまいました。・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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